2008年08月08日

ピロリ菌と癌

早期胃癌患者を対象とした日本の研究により、術後のヘリコバクター・ピロリ菌根絶は胃癌再発のリスクを大幅に低減させることが示されている。このことは、ヘリコバクター・ピロリ菌感染と胃癌との因果関係を示した先行研究のデータを後押しするとともに、ヘリコバクター・ピロリ菌根絶による胃癌の予防を裏付けている、と『Lancet』8月2日号に発表された同研究の研究者らは述べている。

「高リスク地域ではヘリコバクター・ピロリ菌の根絶による胃癌予防を優先事項とすべきである」とメイヨークリニック(フロリダ州、ジャクソンビル)のNicholas Talley, MD, PhDは付随論説で記している。世界的に見て、胃癌による死亡者は大腸癌よりも多く、大腸内視鏡検査によるスクリーニングによって死亡を予防できるというエビデンスよりヘリコバクター・ピロリ菌根絶によって死亡を予防できるとのエビデンスの方が優れているとTalley博士は記している。

しかし、これは予め出来上がっていた考え方ではない。胃癌を予防するために感染者をスクリーニングして治療するということは一般には受け入れられていない、とTalley博士はコメントしている。ヘリコバクター・ピロリ菌は世界保健機構(WHO)から胃癌の発癌因子として分類されており、しかも2007年のアジア太平洋コンセンサス会議(Asian-Pacific consensus conference)では地域集団におけるスクリーニングと高リスク集団におけるヘリコバクター・ピロリ菌の抗生物質治療が現在、推奨されると結論されているにも関わらず、このような状況である。

Talley博士は、こうした状況は変える必要があると述べている。「集団スクリーニングおよび治療は、高リスク集団では行政が努力すべきであり、またWHOが取り組むべきである」とTalley博士は記している。「ヘリコバクター・ピロリ菌の根絶は二次胃腺癌(subsequent gastric adenocarcinoma)のリスクを低減させるという説得力のあるエビデンスが現在、得られている」
健康 歯周病

posted by 8020 at 08:01| 医科 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする